カガヤン川

カガヤン川 (Cagayan River)
イサベラ州ジョーンズ(英語版)付近を流れるカガヤン川
フィリピン
地域 カガヤン・バレー地方
支流
 - 左支流 チコ川(英語版), マガット川(英語版)
 - 右支流 イラガン川(英語版), ピナカナウアン川(英語版)
源流 カラバリオ山脈(英語版)
 - 標高 1,524m (5,000ft)
合流地 バブヤン海峡
 - 所在地 カガヤン州アパリ
 - 標高 0m (0ft)
長さ 520km (323mi)
流域 27,300 km² (10,540 sq mi)
カガヤン川水系の流域図

カガヤン川(カガヤンがわ、フィリピン語: Ilog Cagayan, 英語: Cagayan River)は、フィリピンルソン島北東部のカガヤン・バレー地方を流れる河川。フィリピンで最長の河川である[1]。古称はリオグランデデカガヤン川スペイン語: Rio Grande de Cagayan[2]

概要

トゥゲガラオのブントゥン橋付近
1720年にJuan Luis de Acostaにより描かれたカガヤン川流域古地図

ルソン島の中央東部、ヌエヴァ・ヴィスカヤ州カラバリオ山脈(英語版)を水源とする。シエラマドレ山脈とコルディレラ・セントラル山脈の間を北上してイサベラ州カガヤン州を通過し、チコ川やマガット川など大小の支流を合わせる。カガヤン州アパリ(英語版)バブヤン海峡に流入する[2][3][4]

延長520km、流域面積27,300km2[5]は、ともにルソン島及びフィリピンで最大である[1]

沖積平野として広大で肥沃なカガヤン平野を形成しており、稲作タバコトウモロコシココヤシなどを中心に農業開発が行われ、フィリピンの重要な農業地帯となっている[3][6]。特にタバコ葉は、キューバ産のハバナシガーに並んで高名なマニラシガーの生産中心地として知られる[7]葉巻きたばこを参照)。

沿岸の主要都市はトゥゲガラオイラガン(英語版)、河口にあるアパリなど[6]。小規模な汽船であれば、河口から約100km程度の航行が可能である[3]

流域の気候は全体的に乾季が不明瞭で、年間の降水量は1,500-2,000mmである[4]パシッグ川アグノ川(英語版)など他のルソン島主要河川に比べると相対的に雨量が少ない方に属する[8]。上流及び下流部はイロカノ族(英語版)、中流部はタガログ族の居住地域となっている[3]

カガヤン川流域はフィリピン最大の平野であるが、台風モンスーン等による豪雨のため毎年のように激しい洪水が発生し、そのためフィリピン国内でも開発が遅れた地域となっている。特に下流部の河川狭窄部が原因で、その上流に広がる耕作地域に頻繁に洪水を引き起こし、主要産業である農業に大きな被害を与えている。一方で財政的な制約もあって河川改修や堤防などの治水施設の整備が進んでおらず、治水計画は日本に委ねられている[9][1]

主な支流

下流から記載

  • チコ川(英語版)
  • ピナカナウアン川(英語版)(トゥゲガラオ川、ツゲガラオ川)
  • シフ川(Siffu River)
  • イラガン川(英語版)
  • マガット川(英語版)

脚注

  1. ^ a b c 国際協力事業団(2000).
  2. ^ a b 『世界地名大事典』(2017).
  3. ^ a b c d 『日本大百科全書』(1985).
  4. ^ a b 『世界大百科事典』(2007).
  5. ^ 具体的な延長と流域面積は資料により大きく異同があり、『日本大百科全書』では352km/14,000km2、『世界大百科事典』では440km、『ブリタニカ百科事典』では350km、土木研究所(2007)では505km/25,649km2とする。本稿の数値は『世界地名大事典』及び国際協力事業団(2000)に依った。
  6. ^ a b 『ブリタニカ』小項目1(1991).
  7. ^ 『ブリタニカ』20(1991).
  8. ^ 土木研究所(2007).
  9. ^ 大矢,松田(2002).

参考文献

  • 『世界地名大事典 アジア・オセアニア・極 1』 朝倉書店、2017年、315頁「カガヤン川」項(佐竹眞明著)。
  • 『日本大百科全書 4』 小学館、1985年、857頁「カガヤン川」項(別枝篤彦著)。
  • 『世界大百科事典 5』 平凡社、1988年初版/2007年改訂新版、84頁「カガヤン」項(梅原弘光著)。
  • 『ブリタニカ国際大百科事典 1 小項目事典TBSブリタニカ、1972年初版/1991年第2版改訂、1026頁「カガヤン川」項。
  • 『ブリタニカ国際大百科事典 20』 TBSブリタニカ、1975年初版/1991年第2版改訂、370-371頁「ルソン島」項。
  • 独立行政法人土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター 「土木研究所資料 フィリピンにおける水災害に関する要因分析」 2007年6月、9-10頁。
  • 大矢雅彦、松田明浩 「フィリピン国カガヤン川中流域水害地形分類図と治水計画への応用」『季刊地理学』2002年 54巻 3号 139-150頁。
  • 国際協力事業団 「フィリピン国 カガヤン川下流域洪水対策計画調査 事前調査報告書」 2000年1月、1、8-9、11、16-17頁。

関連項目

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