ゼロフォノン線とフォノンサイドバンド

局在中心の光吸収スペクトルの形状関数は、温度がT=0の時は次のように書ける。

A ( ω ) m F m 0 δ ( ω W 00 m ω v ) {\displaystyle A(\hbar \omega )\propto \sum _{m}F_{m0}\delta (\hbar \omega -W_{00}-m\hbar \omega _{v})}

m = 0, 1, 2, ...のものをそれぞれゼロフォノン線1フォノン線2フォノン線、...と呼ぶ。ここで

F m 0 = e S S m m ! {\displaystyle F_{m0}=e^{-S}{\frac {S^{m}}{m!}}}
S = W L R ω v {\displaystyle S={\frac {W_{LR}}{\hbar \omega _{v}}}}

であり、Sはホアン=リー因子と呼ばれる。

全吸収強度の中でゼロフォノン線の強度が占める割合は、デバイ‐ワラー因子と呼ばれ、これは絶対温度をT、フォノンの平均占有数を<n>とすると e S ( 1 + 2 n ) {\displaystyle e^{-S(1+2\langle n\rangle )}} で与えられる。

ゼロフォノン線以外はフォノンの同時遷移を伴うものであるが、実際にはいろいろな振動数のフォノンがあり、それらの関係する線は重なってバンドとなるため、これをフォノンサイドバンドと呼ぶ。

参考文献

  • 櫛田孝司 『光物性物理学』 朝倉書店、1991年
  • 塩谷繁雄 『光物性ハンドブック』 朝倉書店、1984年