ピーター・イング (イング男爵)

イング男爵、ピーター・イング
Peter Inge, Baron Inge
2007年9月22日の陸軍元帥イング卿
生誕 (1935-08-05) 1935年8月5日
死没 (2022-07-20) 2022年7月20日(86歳没)
所属組織 イギリス陸軍
軍歴 1956年 - 1997年
最終階級 陸軍元帥
除隊後 貴族院議員1997年-2016年
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イング男爵、ピーター・アンソニー・イング: Peter Anthony Inge, Baron Inge, KG, GCB, PC, DL1935年8月5日 - 2022年7月20日)は、イギリス陸軍軍人一代貴族政治家

1992年から1994年にかけて陸軍の参謀総長(英語版)を務め、ついで1994年から1997年にかけて統合参謀総長(英語版)を務めた。軍人としての最終階級は陸軍元帥。

1997年一代貴族イング男爵に叙され、貴族院議員に列する。

経歴

1935年8月5日にレイモンド・インゲとその妻グレース(旧姓ドゥ・ローズ)の息子として生まれた[1]リーキン・カレッジ(英語版)を経て、サンドハースト王立陸軍士官学校で学ぶ[2][1]

1956年に陸軍グリーン・ハワーズ(英語版)(ウェールズ大公女アレクサンドラ所有ヨークシャー連隊)に入隊した[2][1]1958年7月27日中尉(英語版)に昇進[3]。グリーン・ハワーズ連隊第一大隊に所属し、1958年から1959年にかけては大隊とともに英領香港に駐留した[2]。ついで1959年から1960年にかけては大隊とともに西ドイツ駐留のイギリス陸軍ライン軍団で勤務[2]

1960年には第4歩兵師団(英語版)司令官付副官(英語版)に就任[2]1962年7月26日大尉(英語版)に昇進し[4]、グリーン・ハワーズ連隊第一大隊付副官(英語版)となる[2]リビアで任務に就いた後、1965年にキャンバリーの参謀大学(英語版)で学ぶ[2]1967年1月に国防省陸軍参謀部に勤務[2]1967年12月31日、少佐(major)に昇進[5]

1969年に大隊に復帰し、1970年6月から8月にかけては北アイルランドで任務についていた[6]1971年8月から1972年10月まで第11装甲旅団(英語版)旅団参謀少佐(英語版)として勤務[7]1972年12月31日中佐(Lieutenant colonel)に昇進[8]。1972年10月から1974年12月にかけてキャンバリーの参謀大学の教官を務める[7]

1974年12月から1977年2月にかけてはグリーン・ハワーズ連隊第一大隊の司令官(Commanding officer)を務め、北アイルランドやドイツ・ベルリンなどで任務にあたった[7]1976年12月31日には大佐(英語版)に昇進[9]

1977年2月から1979年12月にかけて参謀大学の準師団(Staff College’s Junior Division)の司令官となる[7]1979年12月からライン軍団のタスク・フォースC(後の第4装甲旅団)の司令官となり[7]1979年12月31日准将(英語版)に昇進した[10]1982年2月からドイツ駐留のまま第1軍団(英語版)の参謀長に就任[7]

ついで1983年12月からヨーク第2歩兵師団(英語版)総司令官(GOC)(英語版)を務めた[7]。1984年4月16日に少将(major-general)に昇進[11]

1986年2月から1987年5月にかけては国防省陸軍兵站総監(Director General, Logistics Policy (Army))を務める[7]

1987年8月8日中将(lieutenant general)に昇進するとともに第1軍団の総司令官に就任[7][12]。ついで1989年11月から北大西洋条約機構(NATO)軍の北部陸軍集団(英語版)司令官とイギリス陸軍ライン軍団最高司令官(C-in-C)(英語版)に就任した[7]1990年9月3日大将(general)に昇進[13]

1992年2月にイギリスへ帰国し、陸軍参謀本部総長(英語版)に就任した[7]1994年3月15日統合参謀総長(英語版)に就任するとともに陸軍元帥に昇進した[7][14]。1997年4月まで務めた[7]

1997年7月21日一代貴族爵位「カウンティ・オブ・ノース・ヨークシャーにおけるリッチモンドのイング男爵(Baron Inge, of Richmond in the County of North Yorkshire)」に叙され[1]、貴族院議員に列した[15]。貴族院内における党派は中立派である[15]

2001年4月23日、女王エリザベス2世よりガーター騎士団(ガーター勲章)ナイト(KG)に叙される[16]

栄典

2006年6月19日ガーターセレモニーの際のガーター騎士団員イング卿元帥

爵位

勲章

名誉職その他

脚注

[脚注の使い方]

注釈

出典

  1. ^ a b c d e f g Lundy, Darryl. “Field Marshal Peter Anthony Inge, Baron Inge” (英語). thepeerage.com. 2014年10月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h Heathcote(1999) p. 183
  3. ^ "No. 41458". The London Gazette (Supplement) (英語). 25 July 1958. p. 4720. 2014年10月20日閲覧
  4. ^ "No. 42742". The London Gazette (Supplement) (英語). 24 July 1962. p. 5976. 2011年9月26日閲覧
  5. ^ "No. 44493". The London Gazette (Supplement) (英語). 29 December 1967. p. 76. 2014年10月20日閲覧
  6. ^ Heathcote(1999) p. 183-184
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m Heathcote(1999) p. 184
  8. ^ "No. 45867". The London Gazette (Supplement) (英語). 1 January 1973. p. 91. 2014年10月20日閲覧
  9. ^ "No. 47117". The London Gazette (Supplement) (英語). 10 January 1977. p. 361. 2014年10月20日閲覧
  10. ^ "No. 48080". The London Gazette (Supplement) (英語). 28 January 1980. p. 1438. 2014年10月20日閲覧
  11. ^ "No. 49754". The London Gazette (英語). 4 June 1984. p. 7748. 2014年10月20日閲覧
  12. ^ "No. 51053". The London Gazette (Supplement) (英語). 7 September 1987. p. 11201. 2014年10月20日閲覧
  13. ^ "No. 51948". The London Gazette (Supplement) (英語). 28 November 1989. p. 13725. 2014年10月20日閲覧
  14. ^ "No. 53645". The London Gazette (Supplement) (英語). 18 April 1994. p. 5799. 2014年10月20日閲覧
  15. ^ a b “Lord Inge” (英語). www.parliament.uk. イギリス議会. 2014年10月20日閲覧。
  16. ^ a b "No. 56183". The London Gazette (英語). 23 April 2001. p. 4839. 2014年10月20日閲覧
  17. ^ "No. 51171". The London Gazette (Supplement) (英語). 30 December 1987. p. 2. 2014年10月20日閲覧
  18. ^ "No. 52767". The London Gazette (Supplement) (英語). 30 December 1991. p. 2. 2014年10月20日閲覧
  19. ^ a b Heathcote(1999) p. 185

参考文献

  • Heathcote, Tony (1999) (英語). The British Field Marshals, 1736–1997: A Biographical Dictionary. Barnsley: Leo Cooper. ISBN 0-85052-696-5 
軍職
先代
サー・パトリック・パーマー(英語版)
第2歩兵師団(英語版)総司令官(GOC)(英語版)
1984年 - 1985年
次代
サー・チャールズ・ガスリー(英語版)
先代
サー・ブライアン・ケニー(英語版)
第1軍団(英語版)総司令官(GOC)
1987年 - 1989年
次代
サー・チャールズ・ガスリー(英語版)
先代
サー・ブライアン・ケニー(英語版)
英陸軍ライン軍団最高司令官(C-in-C)(英語版)
1989年 - 1992年
次代
サー・チャールズ・ガスリー(英語版)
先代
サー・ジョン・チャペル(英語版)
参謀本部総長(英語版)
1992年 - 1994年
次代
サー・チャールズ・ガスリー(英語版)
先代
サー・ピーター・ハーディング(英語版)
統合参謀総長(英語版)
1994年 - 1997年
次代
サー・チャールズ・ガスリー(英語版)
名誉職
先代
サー・ジョン・スタンアー(英語版)
ロンドン塔管理長官(英語版)
1996年 - 2001年
次代
サー・ロジャー・ホイーラー(英語版)
職権上の騎士
  • 国王チャールズ3世1958
  • プリンス・オブ・ウェールズ2008
臣民の騎士
  • 第5代アバコーン公爵1999
  • イング男爵2001
  • バトラー男爵(英語版)2003
  • モリス男爵(英語版)2003
  • サー・ジョン・メージャー2005
  • ルース男爵(英語版)2008
  • サー・トマス・ダン(英語版)2008
  • フィリップス男爵2011
  • ボイス男爵2011
  • スターラップ男爵2013
  • マニンガム=ブラー女男爵2014
  • キング男爵2014
  • 第5代シャトルワース男爵2016
  • サー・デイヴィッド・ ブリューワー(英語版)2016
  • レディ・メアリー・フェーガン(英語版)2018
  • 第3代ブルックバラ子爵2018
  • レディ・メアリー・ピーターズ2019
  • 第7代ソールズベリー侯爵2019
  • アモス女男爵(英語版)2022
  • サー・トニー・ブレア2022
  • 空席4席
王族の騎士
  • ケント公爵1985
  • プリンセス・ロイヤル1994
  • グロスター公爵1997
  • アレクサンドラ王女2003
  • ヨーク公爵2006
  • エディンバラ公爵2006
  • 王妃2022
外国君主の騎士
  • マルグレーテ2世(デンマーク女王)1979
  • カール16世グスタフ(スウェーデン国王)1983
  • フアン・カルロス1世(スペイン前国王)1988
  • ベアトリクス(オランダ前女王)1989
  • 明仁上皇(日本前天皇)1998
  • ハーラル5世(ノルウェー国王)2001
  • フェリペ6世(スペイン国王)2017
  • ウィレム=アレクサンダー(オランダ国王)2018
オフィサー
  • Prelate:ウィンチェスター主教ティム・デーキン(英語版)
  • Chancellor:第5代アバコーン公爵
  • Registrar:ウィンザー首席司祭デイヴィッド・コナー(英語版)
  • Garter Principal King of Armsトマス・ウッドコック
  • Secretary:パトリック・ディキンソン(英語版)
  • Black Rodサラ・クラーク(英語版)
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  • 英国議会