ワルツ第6番 (ショパン)
「小犬のワルツ」はこの項目へ転送されています。日本のテレビドラマについては「仔犬のワルツ」をご覧ください。 |
この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。
ワルツ第6番(ワルツだいろくばん)変ニ長調 作品64-1 は、フレデリック・ショパンが作曲したピアノ独奏のためのワルツで、晩年の1846年から1848年にかけての作品である。デルフィーヌ・ポトツカ伯爵夫人にささげられたこの曲は『小犬のワルツ(子犬のワルツ)』(こいぬのワルツ、仏:Valse du Petit Chien)の通称で知られている。また英語では「Minute Waltz」[注 1]という愛称でも知られている。
概要
作品64は3曲からなっており、第2曲の有名な嬰ハ短調のワルツ、最後の転調色彩感あふれる変イ長調のワルツと対照を成している。第1曲に第一義明朗な作品、以降の曲に陰鬱深刻なそれを組み合わせるのは作者の常であり、『華麗なる円舞曲』や『軍隊ポロネーズ』も同様の手法で公表されている。
作曲の経緯
ショパンの恋人であったジョルジュ・サンドが飼っていた子犬が自分の尻尾を追ってぐるぐる回る習慣を持っており、サンドがショパンにそれを音楽で描写して欲しいと頼んだことから即興的に作曲されたものといわれている[2]。なお、中盤の高く短い音は子犬がつけた[鈴]の音といわれている。
曲の構成
複合三部形式による。第1部のリズミカルで美しいスケールとトリオの甘いメロディが特徴的である。
変ニ長調の右手のモノローグの後に左手のワルツリズムが規則的に現れる。冒頭の変イ音にはトリルを入れるバージョンとトリルのないバージョンが存在する。
その他
NHK教育テレビのアニメ『忍たま乱太郎5』のエンディングテーマで、松尾銀三によりこの曲がカバーされている(『ヘムヘムのワルツ』・1998年2月12日及び2月19日(91話・96話))。
かつて、アメリカの出版社"Music Treasure Publications"からこの曲による13曲の技巧的な編曲集が出版されていた[1]。2曲を除いてフレドリク・ウレーンが"Got a Minute?"(邦題『超絶のショパン』)の名でBISからCDをリリースしている(この曲集の他にショパンのピアノ曲の編曲を収録)。
収められた曲の編曲者は以下の通り。
- Joseffy:Concertstudie uber den Des-dur Walzer von Chopin
- Rosenthal:Studie uber den Walzer Op.64 No.1 von F.Chopin
- Philipp:1ere Etude de Concert d'apres une valse de F. Chopin、Etude de Concert pour la main gauche d'apres Chopin
- Max Laistner:Etude de Concert after the Valse, Op.64, No.1 CHOPIN (未録音)
- Giuseppe Ferrata:Two Studies on CHOPIN'S VALSE Op.64, No.1
- Michael von Zadora[3]:Studie uber einen Chopin Walzer (未録音)
- Moriz Moszkowski:Valse, Op.64 No.1
- Michalowski:Paraphrase sur le Valse re bemol majeur de FR. CHOPIN, Oevre 64, N.1
- Joe Furst(本名:Joseph Furstenberg[4]):Showpan Boogie…ブギウギ風の編曲。
- Sorabji:Pastiche on Minute Waltz of Chopin
この他にも、レオポルド・ゴドフスキーなどがピアノ用に手を加えた編曲を残している。
脚注
注釈
- ^ 英名の「Minute Waltz」は元来「小さなワルツ」を意味する。「とても小さな」を意味する英単語“minute”(マイニュート)を、同じ綴りの時間の「分」を意味する“minute”(ミニット)に誤って取り違えられ[1]、日本語でも「1分間のワルツ」と表記されることがある。
出典
参考文献
外部リンク
- 3つのワルツ 作品64の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
| |
---|---|
第1番 変ホ長調 作品18「華麗なる大円舞曲」 · 3つの華麗なる円舞曲 作品34(第2番 変イ長調 · 第3番 イ短調 · 第4番 ヘ長調 「猫のワルツ」) · 第5番 変イ長調 作品42「大円舞曲」 · 3つのワルツ 作品64(第6番 変ニ長調 「小犬のワルツ」 · 第7番 嬰ハ短調 · 第8番 変イ長調) | |
遺作 | 2つのワルツ 作品69(第9番 変イ長調 「告別」 · 第10番 ロ短調) · 3つのワルツ 作品70(第11番 変ト長調 · 第12番 ヘ短調 · 第13番 変ニ長調) · 第14番 ホ短調 作品番号なし · 第15番 ホ長調 作品番号なし · 第16番 変イ長調 作品番号なし · 第17番 変ホ長調 作品番号なし · 変ホ長調 作品番号なし「ソステヌート」 · イ短調 作品番号なし · 嬰ヘ短調 作品番号なし · ハ短調 作品番号なし · ロ長調 作品番号なし |