ヴェツォプ・ナムギャル

信任状捧呈式プラティバ・パティル大領領(左)と会談するナムギャル大使(2009年)
インドのラージナート・シン内務大臣(ヒンディー語版、英語版)(左)と握手するナムギャル大使(2016年)

ヴェツォプ・ナムギャル少将英語: Major General Vetsop Namgyel1952年8月15日 - )は、ブータン王国侍従武官、駐印大使(2009年~)[1]、駐日大使(非常駐、2010年~)[2]パロ県パンビサ村出身、既婚、一男二女の父[1]ベツォプ・ナムギャルヴェトソップ・ナムギャルとカナ表記されることもある[3][4]

経歴

1969年インド西ベンガル州ダージリンセント・ジョゼフ校(英語版)(通称ノースポイント、North Point)でシニア・ケンブリッジ(英語版)を修了。学位取得後、ブータン王国軍に加入するよう要請され、1972年12月にインド軍事アカデミー(英語版)を卒業して軍務に就くことになった。ナムギャルの軍歴の始まりはジグミ・シンゲ・ワンチュク国王の治世開始とほぼ重なっており、ジグミ・シンゲ・ワンチュク王太子が16歳で国王に就任した翌年の1973年ブータン国王親衛隊を志願して侍従武官を拝命し、1974年6月には18歳になったジグミ・シンゲ・ワンチュク国王の戴冠式が執り行われている[1]

1989年大佐に昇進して、その後は陸軍長官侍従武官長を兼任。2004年12月17日、ジグミ・シンゲ・ワンチュク国王よりブータンで最高位の軍事勲章(英語版)であるドゥルク・ユギャル章(英語: Druk Yugyel Medal)を賜り、2005年11月4日、少将に昇進した。ジグミ・シンゲ・ワンチュク国王は、戴冠した1974年から長男ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュクに譲位した2006年にかけて何度もインドを訪問したが、その傍らには常にナムギャルの姿があった[1]

2009年1月、前任者ダゴ・ツェリンに代わる在インドブータン大使としてナムギャル少将がデリーに到着[5]。同年1月16日、プラティバ・パティル大領領信任状を捧呈した[1][2]

2010年1月15日、ナムギャル少将は駐日大使として東京を訪問し、皇居正殿松の間で天皇明仁(当時。令和時代の上皇)信任状を捧呈した[2]。同年12月17日、ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王よりドゥルク・トゥクセイ章(英語: Druk Thuksey Medal)を賜る[1]

2011年2月、国王の妹であるケサン・チョゼン・ワンチュク(英語版)王女が夫婦で来日したが、この時にナムギャル少将が訪問先の裏千家今日庵や国立京都国際会館龍谷大学などに随行しており[6]、特に京都国際会館と龍谷大学で開催された講演ではナムギャル少将自身もパネリストとして登壇している[7][8]

2017年6月29日、ブータンと中国の間で棚上げが合意されていたはずの係争地ドクラム(英語版)高地で中国がブータンとの事前調整なしで道路の建設工事を行ったことについて、ブータンが在インド中国外交使節団に対して道路建設を中止するよう抗議したことを、ナムギャル少将が在インド大使としてPTI通信(英語版)を通じて明かした[3]

2019年10月22日、皇居正殿松の間で今上天皇即位礼正殿の儀が執り行われ[9]、ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王及びジェツン・ペマ・ワンチュク王妃と共に参列した[4]

2020年12月12日、ナムギャル少将は駐印イスラエル大使ロン・マルカ(ヘブライ語版)の公邸を訪問し、マルカ大使と連名でイスラエルとブータンの国交を樹立する協定に署名した[10]

出典

  1. ^ a b c d e f 在インドブータン大使館による略歴 (英語)
  2. ^ a b c 外務省: 新任駐日ブータン王国大使の信任状捧呈
  3. ^ a b ヒマラヤの小国ブータン、領土問題で中国に抗議 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
  4. ^ a b 外交青書 2020 | 即位礼正殿の儀参列者(外国元首・祝賀使節等及び駐日外国大使等) | 外務省
  5. ^ “The Bhutan Reporter” Vol. V, No. 48, January 2009 (英語)
  6. ^ - 裏千家ホームページ ブータン王国 アシ・ケサン・チョゼン・ワンチュク王女殿下一行が来庵
  7. ^ 第2回(平成22年度)「KYOTO 地球環境の殿堂」表彰式 京都環境文化学術フォーラム「国際シンポジウム」開催概要
  8. ^ ブータン王国ケサン王女殿下記念講演会 | 研究活動 | 龍谷大学アジア仏教文化研究センター(BARC) 文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
  9. ^ 即位礼正殿の儀 | 首相官邸ホームページ
  10. ^ Israel inks deal establishing diplomatic relations with Bhutan | The Times of Israel (英語)

関連項目

外部リンク

  • 在インドブータン大使館による略歴 (英語)
公職
先代
????
ブータンの旗 侍従武官長
1989年 -
次代
(現職)
先代
ダゴ・ツェリン
ブータンの旗 在インドブータン大使 インドの旗
2009年 -
次代
(現職)
先代
ダゴ・ツェリン
ブータンの旗 駐日ブータン大使 日本の旗
2010年 -
次代
(現職)
日本の旗 現職の駐日大使
特命全権大使
非常駐大使
  • 1998年
  • トーゴの旗 ノラナ・タ・アマ(中国常駐)
  • 2008年
  • アンティグア・バーブーダの旗 アンソニー・リバプール(本国常駐)
  • エスワティニの旗 ムプメレロ・ジョセフ・ンドゥミソ・ロペ(マレーシア常駐)
  • 2010年
  • ブータンの旗 ヴェツォプ・ナムギャル(インド常駐)
  • 2012年
  • 赤道ギニアの旗 マルコス・ムバ・オンド(中国常駐)
  • 2013年
  • ギニアビサウの旗 マラン・サンブー(ポルトガル語版)(中国常駐)
  • 2014年
  • ブルンジの旗 パスカル・ガスンズ(中国常駐)
  • スリナムの旗 ロイド・ルシエン・ピナス(中国常駐)
  • キリバスの旗 テーコア・イウタ(台湾常駐)
  • 2016年
  • チャドの旗 アハメッド・スンギ(中国常駐)
  • モンテネグロの旗 ヨバン・ミルコビッチ(本国常駐)
  • 2017年
  • ニジェールの旗 イヌサ・ムスタファ(中国常駐)
  • 2018年
  • セントクリストファー・ネイビスの旗 ジャスミン・ハギンス(台湾常駐)
  • 2019年
  • カーボベルデの旗 ターニャ・セラフィム・イヴォンヌ・ロミュアルド(中国常駐)
  • 2022年
  • シエラレオネの旗 アーネスト・ビンバ・ドマヒナ(中国常駐)
  • セントビンセント・グレナディーンの旗 アンドレア・ボウマン(台湾常駐)
  • ベリーズの旗 キャンディス・ピッツ(シンプル英語版)(台湾常駐)
  • モナコの旗 ディディエ・ガメルダンジェ(フランス語版)(本国常駐)
  • 2023年
  • モーリシャスの旗 マリー・クレア・ジャン・モンティ(オーストラリア常駐)
  • トリニダード・トバゴの旗 ロジャー・ゴポール(インド常駐)
  • コモロの旗 マウラナ・シャリフ(中国常駐)
  • バハマの旗 セドリック・アレキサンダー・スコット(本国常駐)
  • セーシェルの旗 アンヌ・ラフォルテューン(中国常駐)
次期大使
  • ホンジュラスの旗 ハロルド・エフライン・ブルゴス・カストロ
  • カタールの旗 ジャベル・ジャララ・アルマッリ
臨時代理大使
  • 2019年
  • マダガスカルの旗 ツィラヴ・マエリゾ・ランジャザフィ
  • 2021年
  • ボリビアの旗 ナターリア・フェルナンダ・サラサール・バルデラマ
  • 2022年
  • リビアの旗 アハメッド・S・A・アルナァース
  • ギニアの旗 ムッサ・ファンタ・カマラ
  • コロンビアの旗 フロル・アンヘラ・ドゥラン・コンスエグラ
  • スーダンの旗 アリ・モハメド・アーメッド・オスマン・モハメド
  • シリアの旗 ナジブ・エルジ
  • ホンジュラスの旗 アニバル・アロルド・アンドン・シルバ
  • ロシアの旗 ゲンナーディー・オヴェチコ(ロシア語版)
  • トーゴの旗 ドジヴィ・エヴァ・ケケリ・ムヴィ
  • ベラルーシの旗 エヴゲーニイ・ラヴリネンコ
  • ブルキナファソの旗 テウェンデ・ポール・スィンガ
  • 2023年
  • ハイチの旗 ワトソン・レイシウス・デニ
  • 北マケドニア共和国の旗 エフェンディレール・スナイ
  • チュニジアの旗 アバス・フセム
  • オランダの旗 セオドーラス・ペータース
  • バチカンの旗 リヴェ・ファブリス
  • タイ王国の旗 プラーンティップ・ガーンジャナハッタキット
  • カタールの旗 アブダラ・セイフ・アルカヤリン
  • ナイジェリアの旗 ディンバ・エニオマ
  • ルワンダの旗 ボニー・ムセファノ
  • モザンビークの旗 ジョゼ・アントニオ・ジュスティーノ・ニャルンゴ
  • スロバキアの旗 ロマン・ハウザー
  • 2024年
  • サウジアラビアの旗 アナス・サーレ・A・アルノワイセー
  • イラクの旗 ペワン・ジャセム・イブラヒム・ザウィタイ
  • ケニアの旗 アーサー・アマヤ・アンダンビ
  • ベナンの旗 モルジャン・アルビンヌ・カールメンヌ
その他