単位行列

曖昧さ回避 行列単位」とは異なります。

数学、特に線型代数学において、単位行列(たんいぎょうれつ、: identity matrix)とは、単位的環上で定義される同じ正方行列同士の、積演算における単位元のことである。

構成

単位行列はその対角成分に 1 が並び、他は全て 0 となる。行列要素を ai, j とすると次のように書ける。

a i , j = { 1 ( i = j ) 0 ( i j ) {\displaystyle a_{i,j}=\left\{{\begin{matrix}1&(i=j)\\0&(i\neq j)\end{matrix}}\right.}

ただし、1, 0 は係数環の単位元と零元である。

[ 1 0 0 0 1 0 0 0 1 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}1&0&\cdots &0\\0&1&\cdots &0\\\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\0&0&\cdots &1\end{bmatrix}}}

表記法

n次単位行列は EnIn と記述されることが多い。混乱の恐れがないときには、単に EI とも書かれる。

対角行列の記法を用いて In = diag(1, 1, …, 1) と書ける。

クロネッカーのデルタを用いると、En = (δi,j) と表すことができる。

性質

スカラー行列との関連

単位行列をスカラー倍したものをスカラー行列という。スカラーにスカラー行列を対応させる写像が単射ならば、係数環は行列線型代数群)あるいは行列環部分群部分環として埋め込まれ、係数環の中心は行列群あるいは行列環の中心に入る。特に可換体上の n次全行列環の中心は、埋め込まれた係数体そのもので、これを全行列環は係数体上中心的であるという。

外部リンク