特殊線型群

代数的構造群論
群論
有限単純群の分類
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モジュラー群
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  • SL(2, Z)
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  • 特殊線型 SL(n)
  • G2(英語版)
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  • E8
無限次元リー群(英語版)
  • O(∞)
  • SU(∞)
  • Sp(∞)

数学において、 F 上の次数 n特殊線型群(とくしゅせんけいぐん、: special linear group)とは、 行列式1 である n正方行列のなす集合に、通常の行列の積逆行列の演算が入った群である。この群は、行列式

det : GL ( n , F ) F × {\displaystyle \det \colon \operatorname {GL} (n,F)\to F^{\times }}

の核として得られる、一般線型群 GL(n, F)正規部分群である。 ここでF×F乗法群(つまり、F から 0 を除いた集合)を表す。

特殊線型群の元は「特殊な」もの、つまりある多項式が定める一般線型群の部分代数多様体、である(行列式は多項式であることに注意)。

幾何学的解釈

特殊線型群 SL(n, R) は、体積向きを保つ Rn における線型変換のなす群として特徴付けられる。これは線型変換の行列式が、体積と向きの変化を測っていると解釈できることに対応している。

リー部分群

FR (実数体)、または C (複素数体) であるときには、SL(n, F)GL(n, F)(n2 − 1) 次元のリー部分群である。SL(n, F)リー代数 s l ( n , F ) {\displaystyle {\mathfrak {sl}}(n,F)} は、トレースが 0 であるF 上の n 次正方行列からなる。リー括弧積は、交換子積によって与えられる。

位相

すべての正則行列はユニタリ行列正定値エルミート行列の積に一意的に極分解できる。 ユニタリ行列の行列式は単位円上に値をとり、正定値エルミート行列の行列式は正の実数なので、 特殊線型群に属している行列をこれらの積に分解したとき、それらの行列式は共に1である。 よって特殊線型群に属する行列は特殊ユニタリ行列と行列式が 1 の正定値エルミート行列の積で書ける。

よって群 SL(n, C) の位相は特殊ユニタリ群 SU(n) と行列式が 1 の正定値エルミート行列全体からなる群の積位相で与えられる。 行列式が 1 の正定値エルミート行列はトレース 0 のエルミート行列の指数関数行列として一意的に表せるので、その位相は (n2 − 1) 次元のユークリッド空間と同じである。

また群 SL(n, R) の位相は特殊直交群 SO(n) と行列式が 1 の正定値対称行列全体からなる群の積位相で与えられる。 行列式が 1 の正定値対称行列はトレースが 0 の対称行列の指数行列として一意的に表せるので、その位相は(n + 2)(n − 1) 次元のユークリッド空間と同じである。

SL(n, C) は、特殊ユニタリ群 SU(n) のように、単連結である一方 SL(n, R) は、特殊直交群 SO(n) のように、単連結ではない。 SL(n, R)GL+(n, R) あるいは SO(n) と同じ基本群を持つ。 つまり n = 1, 2 のときはZn > 2 のときは Z2 である。

関連項目

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