警報システム

警報システム(けいほうシステム)とは、危険危機が差し迫っている状態(緊急事態, emergency)、あるいは危険性(リスク, risk)の高い状態を、警報として不特定多数の者に周知するシステムのこと。危険・機器・危険性の対象や、警報の形態はさまざまである。社会学安全工学心理学に関連が深い。

生物学的な警報システム

地球上の生物には、本能的に、自らに迫る危機を警告として自己認識させるシステムが幾つか備わっている。

  • 疼痛(一般的にいう痛みを指す医学用語) - 痛みによって外傷や体内の異常を認識させる。「痛み方」痛みの程度、部位などにより詳細な状態を認識し、保護行動や痛み経験に基づく回避行動につながる。
  • 恐怖 - 恐怖を感じたことをきっかけに、危険に対処しようとする防御力が一時的に向上する。また、恐怖体験はそれに対する回避行動につながる。

また、警告(特定者に対する警報)を発することによって自らを守ろうとするシステムを持つ生物もいる。

  • 警告色(警戒色) - 自らの体の色彩や模様によって周囲に警告を発し、自らを守ろうとしていると考えられている。
  • 威嚇 - 自らの体を大きく見せたり、色や模様を変えたり、音を出したり、動きを見せたりして相手をひるませようとする行動。威嚇は攻撃の前段階としてだけではなく、自らを守ろうとする側面もある。

社会における警報システム

社会の中には、実にさまざまな目的、形態の警報システムが存在している。

産業

建築物

  • 消防法に基づき一定の条件に該当する建築物では自動火災報知設備が設置され、地区音響装置(ベル)や非常放送設備の大きな音により火災を知らせる。
    • 漏電による火災のリスクが高い一定基準を満たす建築物では、漏電火災警報器により漏電時に警報を発して火災の危険を知らせる。
  • また防犯や不審者対策などセキュリティを目的に警報装置が設置される場合がある。

広く一般に向けられるもの

自然災害や事件、事故など不特定多数の者に危険が及ぶような事象に対しては、広く一般に向けた警報システムが用いられる。

なお市町村などの地方自治体は、上記のような災害全般に対して、災害対策基本法に基づきその危険性に応じて、避難準備情報避難勧告避難指示を発表するほか、警戒区域を設定して法的に立ち入りを制限する。これらは警報・注意報などの名を冠してはいないが、避難を促す警報の性格を持っている。

警報の形態

物理的な基準のある危険では、計測や検知を行い、しきい値以上になった時点で警報を発するシステムが多く用いられる。これが使えないような場合や高度な判断が必要な場合は、人間による客観的な判断を以て警報を発するシステムが採用される。

自動的に警報を発するものではブザーベルスピーカー音声放送やサイレン)などの音響や照明の点灯・点滅を用いて知らせるものがある。建設現場や交通管制などでは、ホイッスル誘導棒が警告の意味で用いられることがある。また、危険が常時存在する地域では標識ピクトグラム文字)で知らせるものがある。

また、広く一般に向けた警報としてはテレビラジオなどの放送媒体、携帯電話などの移動通信機器を用いた警報システムも多用される。

脚注

参考文献

  • 特許庁『平成18年度 特許出願技術動向調査報告書 警報システム(要約版)』、2007年5月。

関連項目