鋼・コンクリート合成床版

鋼・コンクリート合成床版(こう・コンクリートごうせいしょうばん)は、底面の鋼板(底鋼板)を床版断面の一部としたコンクリート床版[1]複合構造 § 合成構造の一種。従来のRC床版に対して疲労耐久性が高く、また長支間に適用でき、さらにコンクリートのはく離・はく落がなく、加えて施工時の型枠型枠支保工が不要となる構造[2]として、様々な製品(鋼板パネル)が販売されている。

また類似の構造として、主鉄筋として機能するI形鋼と、型枠として機能する鋼板(床版の断面の一部としない)から構成されるI形鋼格子床版[3]が販売されている。床版支間や疲労耐久性の違いにより、鋼・コンクリート合成床版はPC床版と、I型鋼格子床版はRC床版と比較対象となることが多い。

なお合成が付いた類似の用語として、コンクリート系床版と主桁が一体となって荷重抵抗する桁橋「合成桁橋」、主桁のみで抵抗する桁橋「非合成桁橋」[4]がある。

日本国内における動向

  • 1902年- 明治橋 (大分県)で採用される[5]
  • 1979年 - スペインランデ橋(英語: Rande Bridgeで採用されたロビンソンタイプの鋼・コンクリート合成床版を 枝川ランプ橋(首都高速道路)で採用。以降、徐々に採用が増える[5]
  • 1997年 - 「鋼構造設計指針 Part B 合成構造物」(土木学会)が刊行される[5]
  • 2001年 - 設計や発注を円滑に行いたいという建設業界の要望に応えるため、日本橋梁建設協会より標準の仕様が示され、以降、多数のテキストが刊行される[5]
  • 2016年 - 「複合構造シリーズ07 鋼コンクリート合成床版設計・施工指針(案)」(土木学会)が刊行される[6]
  • 2017年11月 - 道路橋示方書にて、設計に関する規定が示される。
  • 2020年9月 - 鋼道路橋設計便覧にて、設計方法や構造細目が示される。

鋼・コンクリート合成床版の種類

  • 日本橋梁建設協会の仕様となる橋建協標準合成床版では、ずれ止めの種類と底鋼板の補強方法により4種類に分類されている[5]
    • 型鋼タイプ - チャンネルビーム合成床版他
    • ロビンソンタイプ - SCデッキ他
    • トラスジベルタイプ - TRC床版他
    • 帯板タイプ - パワースラブ、パイプスラブ他

脚注

  1. ^ “2-5合成床版”. 日本橋梁建設協会. 2021年1月4日閲覧。
  2. ^ “構造の特徴 鋼コンクリート合成床版”. 川田工業. 2021年1月4日閲覧。
  3. ^ “I形鋼格子床版”. JFEエンジニアリング. 2021年1月4日閲覧。
  4. ^ “桁橋”. JFEエンジニアリング. 2021年1月4日閲覧。
  5. ^ a b c d e “合成床版への取り組み-開発の歴史・現在および将来-”. 日本橋梁建設協会. 2021年1月4日閲覧。
  6. ^ “土木学会刊行物案内”. 土木学会. 2021年1月10日閲覧。