6ペンスの唄

ウォルター・クレインによる、この唄を題材としたイラスト

6ペンスの唄」(6ペンスのうた)は、イギリスを中心とした英語圏童謡である『マザー・グース』の一編である。原題は "Sing a song of sixpence" といい、数ある『マザー・グース』の中でも五指に入るほど愛唱されている唄である[1]。通常愛唱されている唄は4連で構成されている。

歌詞

(英語原詞・日本語訳)[注 1]

Sing a song of sixpence

Sing a Song of sixpence,
A pocket full of rye,
Four and twenty blackbirds[注 2],
Baked in a pie.

When the pie was opened,
The birds began to sing,
Was not that a dainty dish,
To set before the king?

The king was in his counting-house,
Counting out his money,
The queen was in the parlour,
Eating bread and honey.

The maid was in the garden,
Hanging out the clothes,
There came a little blackbird,
And snapped off her nose.

「6ペンスの唄」

6ペンスの唄を歌おう
ポケットにはライ麦がいっぱい
24羽の黒ツグミ[注 2]
パイの中で焼き込められた

パイを開けたらそのときに
歌い始めた小鳥たち
なんて見事なこの料理
王様いかがなものでしょう?

王様お倉で
金勘定
女王は広間で
パンにはちみつ

メイドは庭で
洗濯もの干し
黒ツグミが飛んできて
メイドの鼻をついばんだ

起源についての説

唄の歌詞の意味やその成り立ちについては次の諸説がある[1]

  • 24羽の黒ツグミは24時間、王は太陽を、女王は月を表し、時間の運行を意味する唄という説。
  • メイドは罪人を、黒ツグミは悪魔のこらしめを意味するという懲悪説。
  • 24羽の黒ツグミはアルファベットを、「パイに焼き込む」のは活字の植字を意味し、唄全体では英訳聖書の出版を祝賀しているという説。
  • 王はヘンリー8世、女王 (queen) は王の最初の妃キャサリン、メイドは2番目の妃アンを指し、ローマ教皇と争い修道院の財産を没収して蓄財していたヘンリー8世へのあてつけの唄とする説。

脚注

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注釈

  1. ^ ここでの日本語訳は、谷川俊太郎著『マザー・グースのうた』第4集(草思社、1976年)、鳥山淳子著『もっと知りたいマザーグース』(スクリーンプレイ、2002年)、藤野紀男著『図説 マザーグース』(河出書房新社、2007年)等を参考に、記事作成者が行ったものである。細部の解釈については、諸般の訳本を参照されたい。
  2. ^ a b 黒ツグミを英語では "Blackbird" と呼ぶが、米語では "Blackbird" はムクドリモドキムクドリのような鳥)を指す。

出典

  1. ^ a b 平野敬一著『マザー・グースの唄 イギリスの伝承童謡』(中央公論社、1972年)参照。

関連項目

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